トランスクリプトミクスで迫る細胞分化能

日時

2020年2月4日(火)16:00〜

 

場所

京都大学理学部1号館106号室(BP1)
アクセス 建物配置図(北部構内)【2】の建物

 

講師

大川恭行 教授(九州大学 生体医学防御研究所 トランスクリプトミクス分野)

 

概要

幹細胞が分化し特定の組織を形成する際には、ゲノム上に存在する数万の遺伝子から分化に必要な遺伝子が選択的に転写されます。つまり、幹細胞には、最終分化に必要な遺伝子をONにし、不要な遺伝子をオフとする能力が備わっています。この能力は、遺伝子発現制御が行われる足場であるクロマチン構造により規定されていると考えられています。私たちは、組織に極少数含まれる骨格筋幹細胞のクロマチン構造を解析する技術を開発し、クロマチン構造が規定する遺伝子の発現されやすさを理解することで、細胞のもつ分化能の解明を目指しています。現在までの取り組みを紹介します。

(使用言語:日本語)

 

対象

学部生・大学院生・教員・一般 聴講は無料、お申し込みは不要です。

 

主催

理学研究科 生物科学専攻 生物多様性コロキウム

 

共催

MACS特別セミナー

 

参考URL

http://www.biol.sci.kyoto-u.ac.jp/jpn/seminar/2019/12/202024.html

 

開催報告

 MACS-SG3では、九州大学・生体医学防御研究所の大川恭行博士に「トランスクリプトミクスで迫る細胞分化能」というタイトルで講演していただきました。講演はまず、各々が知りたい”バイオロジカルな問い”を理解するためのトランスクリプトーム解析を意味する「トランスクリプトミクス」の説明から始まりました。そして、大川博士自身が興味を持っている骨格筋細胞の分化に関わる研究成果として、骨格筋分化の過程において転写因子MyoDが、分化後に発現する遺伝子周囲のヒストンを置換(ヒストンバリアントH3.1/2からH3.3への置換)させ、それによって「ヒストン修飾変化→クロマチンリモデリング→転写On」という一連の流れが進むことを説明されました。講演の後半では、多数存在する、機能未知で組織特異的な発現を示すヒストンH3バリアント群のノックアウト解析に関する研究内容を紹介されました。質疑応答では、多様なヒストン修飾変化と転写のOn/Offの関係性やトランスクリプトーム解析に関する素朴な疑問など、多岐にわたって白熱した議論が繰り広げられました。

(文責:高瀬悠太)